短編集の良さとは何か? 珠玉の短編集『遠藤浩輝短編集』(1) と(2) の感想

『遠藤浩輝短編集』(1) 、(2)
  /☆3つ
作者:遠藤浩輝 出版社:講談社

『短編集の良さとは?』

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こんにちは、『完結漫画批評』管理人のマイクです。

ここのところを暑い日々が続いていますね。

皆さんはいかにお過ごしでしょうか?

私は暑いのが(寒いのも)苦手なので、日中はできる限り
外に出ないようにしています。

そして、クーラーが効いた部屋でないと仕事をしない主義
なので、自宅でできる仕事はなるべく自宅でするようにしています。

取材や打ち合わせでどうしても外に出ないといけない時は、
熱中症対策をしっかりしています。

実は、中学生の時に熱中症で救急車に運ばれたことがあります。

その時の経験が若干暑さに対するトラウマになっています。

皆さんも熱中症対策はしっかりとってください。

冒頭から全然関係のない話になりましたが、
今回はおすすめの短編集はないのかと、
読者さんからお問い合わせがあったので、
数ある短編集からおすすめの作者の漫画を
紹介したいと思います。

と、いうことで今回は、
『遠藤浩輝短編集』(1) と(2)を紹介します。

あらすじ...

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『遠藤浩輝短編集』(1)
カラスたちを世話している少女と命を狙われている
ヤクザの男の心の交流を描いた『カラスと少女とヤクザ』。
父親と二人暮らしの女子高生の多感で
不安定な心理を描いた『きっとかわいい女の子だから』。
とある連続殺人鬼を題材にした舞台に臨む学生劇団の人間模様を描いた
『神様なんて信じていない僕らのために』。
の3作品を収録した遠藤浩輝の短編集、第1弾。

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『遠藤浩輝短編集』(2)
『Hang』不安定なこの世界。それでも僕らはSEXする。
『女子高生2000』ある漫画家の日常。仕事場の窓から見える女子高生。
その姿に自らの高校時代が去来する。
『プラットホーム』父親はヤクザ、同級生はその愛人。
単行本描き下ろし『ボーイズ・ドント・クライ』を
含む4作品を収録した、遠藤浩輝の短編集、第2弾。

<以下感想です...>


私は短編集を「幕の内弁当」だと思っています。

短編集のいいところは「幕の内弁当」のごとく、
その作者の作品をいろんな角度でサクッと楽しめる点に
あります。

好きな作者がいる人は、一度その作者の短編集を
読んでみることをおすすめします。

基本的に1話完結なので、サクッと読めるし、
作者が漫画を通して何を表現したいのかがわかります。

中には、どう見ても有象無象な作品を詰め合わせた
ものもありますが、この『遠藤浩輝短編集』は
かなりいい出来です。

この短編集の作者である遠藤氏の代表作は、
ウィルスにより荒廃した世界を描いた
生と死のSF漫画『EDEN』です。

『EDEN』の無料立ち読みはこちら
『EDEN』に関しては、一から読み直している最中なので、
読み終わって、感想がまとまったらいずれ紹介します。
何れにしても、短編集と同じくオススメの一冊ではあります。

短編集は全作品を通して、遠藤氏が掲げるテーマである
「生きることの痛み」が一貫して描かれています。


なので、結構グロイ描写や過激な性描写があります。

この短編集(遠藤氏の漫画)は万人受けする漫画ではありません。

むしろそういった描写に強い抵抗がある人は、
読んだら気分が悪くなるかもしれません。

実際、私の友達の一人は全く遠藤作品を
受け入れませんでした。

私は、この短編集を中学生〜高校生の頃に読みました。

若干中二病が入り混じった青臭いストーリーが
あの時期の私にドンピシャにはまり、休み時間に
ヘビロテで読んでいました。

何より、作中の直接すぎる性描写が思春期真っ只中の
純情な私の心を捉えました。
(作中の女の子はみんな可愛いので、いろいろ妄想しました)

ある意味、私の1番の青春漫画と言えます。

作中に流れる退廃的でどこか切ない空気感は、
私が、中学生〜高校生の頃に感じた空気そのものでした。
(完全に中二病です...)

いまでも、昔を振り返ってカタルシスに浸りたい時に
この短編集を開いて、その時の空気感を感じています。

しかし、それなりの年齢になったせいか、この漫画から、
中二病的な青臭さを感じなくなりました。
(相変わらず、退廃的でどこか切ない空気感は感じますが...)

おそらく、年を重ねる過程で様々なの経験を
積んだことにより、遠藤氏か掲げるテーマである、
「生きることの痛み」を多く感じたからだと思います。

「生きることは辛くて痛いことの連続だ」ってセリフを学生時代一度は
聞いたことがあると思います。

「そんなの当たり前じゃん、それが人生だよ」と思っても、
実際に辛くて痛いことを経験したらそうは思えなくなるものです。

でも生きてる限り痛みは伴うものだというのは、大人と呼ばれる年齢に
達した人ならわかることだと思います。

大人と呼ばれる年齢になっても大人になりきれない、
私ですらそう思うのですから。

だけど、「なんで、生きることは辛くて痛いことの連続なの?」と
子供に聞かれたら、人生とはそんなものだとしか言えません...

この短編集はそういった、「生きることの痛み」の意味
描かれています。

というか、最近読み返して、それが描かれているのが
わかりました。

まさか、この年齢になって昔読んだ漫画から、
それを知ることができるとは思いませんでした。

やはり「たかが漫画、されど漫画」ということですね。

「生きることの痛み」の正体を知りたい人は一読することを薦めます。

万人うけする漫画ではないですが、万人にすすめたい漫画です。

以上『遠藤浩輝短編集』(1) 、(2) の感想でした。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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