実は隠れた傑作? 漫画「幽麗塔」の感想。「自分が自分であるためには」

「幽麗塔」/全9巻/☆3つ
作者:乃木坂太郎 出版社:小学館


『自分が自分であるためには』

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こんにちは。「完結漫画批評」管理人のマイクです。
お金のためにくる日もくる日も個人宅のインターフォンを押しまくり、
自分の良心を押し殺しながら下水洗浄の契約を取る毎日......
心が荒み完全に自分の人生の行き先を見失ったときに
出会った一つの漫画......
と、いうことで今回の完結漫画批評は「幽麗塔」を紹介します。

あらすじ...
犯人は、幽霊なのか、人なのか・・・・・・
時は昭和29年、舞台は神戸。ニートの天野は、幽霊塔と呼ばれる
時計塔で、白い何者かに襲われ死の寸前、
謎の美青年・テツオに救われる。

テツオは曰く
「幽霊塔の財宝探しを手伝えば、金も名誉も手に入る」
しかしテツオの正体は、男を装う女であり、その名も偽名であった......



<以下感想です...>

簡単にいうとこの漫画は、ニート天野と美青年(美少女)テツオの
「幽霊塔」を中心とした冒険談です。
そして、単なる冒険談ではなく
テーマとして「マイノリティ」をあつかった作品です。
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謎の美青年(実は美少女)テツオ、容姿端麗で才色兼備の彼(彼女)は
天野に幽麗塔の財宝探しを依頼する。彼(彼女)には幽麗塔の財宝以上に
欲しいものがあった......

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もう一人の主人公の天野。カストリ雑誌収集が趣味の冴えないニートで
自分の年齢が人生を取り戻せないところにきたと後悔する。

テツオの誘いに乗り幽麗塔の財宝探しに協力する。

その過程で様々な事件や人と出会い、
テツオが羨むほど「男」として成長していく。

この作品の主要人物は誰も「マイノリティ」であるために、
自分が自分であるためにもがき苦しんでいます。

もう一人の主人公、謎の美青年(美少女)テツオは身体は「女性」だが
心は「男性」という今日でいうところの性同一障害を抱えています。

天野とテツオに協力する、刑事の山科(男性)はその幼少期の体験から
少年愛という性壁を持つ。

そして、幽霊塔を買い取りそこに住む、刑事丸部。
優秀な刑事であるが、義理の娘に性的な悪戯をし、
最愛の美しい女性「お夏」が忘れられず、「美しい女性になりたい」と
望むなど人格破綻者的な性壁を持っている。

彼らは自分が周りと違うからこそ、悩み苦しんでいる...
彼らがなぜ悩み苦しむかのか......それは周りが彼らを理解できないからだ
ようは誰かに理解してもらえれば、「マイノリティ」を抱える人も
自分を殺さないで、自分らしく生きることが可能です。

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テツオと天野の前に現れる謎の殺人鬼「死番虫」。
天野の初恋の人である花園を殺害し、幽麗塔が関わるところには
必ず現れる。その正体もこの物語の謎の一つです。

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作中で「死番虫」は沢山の殺人を犯す。
彼はなぜこのような残酷な方法で殺人を繰り返すのだろう!?

尾崎豊が
「僕が僕であるために勝ち続けなきゃならない」と歌ったように
自分が自分であるためには、周りに勝ち続ける必要もあるが、
そばに自分を理解してくれる人が必要です。

テツオがカストリ雑誌を好んで読む冴えないニート天野を「幽霊塔」の
財宝探しに誘った理由も彼(彼女)が抱えるマイノリティの一つを
解消するためでした。

しかし「幽霊塔」の冒険を通じてテツオは初めて男性である
天野と喜怒哀楽を共にし、友情を抱き、求めるようになる。

天野も途中、自ら女装することでテツオの世界を理解し、
最初に抱いていたほのかな愛情友情に変わっていきました。

天野は、テツオとの生活で彼(彼女)に対して
悶々とムラムラと...ま、男が美女と過ごしたら抱えるであろう
感情と対峙します!
その気持ちは、私も男ですからわかります!!

あんな美女と行動を共にして
そう思わない男はいません。

しかし、天野はそういった試練を乗り越え、
テツオに対して真の友情を持つようになります。
(この時の天野は男というより漢(おとこ)でした)


それこそが、テツオが本当にほしい物でした...


作中、二人は様々な「マイノリティ」を抱える人に出会います。

彼らは理解されない苦しみを抱えて生きていました。

彼らはその苦しみから殺人をおかします。
あるものは掟に縛られ、あるものは子を授かりたいという願望から、
また、あるものは殺しの快楽から......
全てそれぞれの「マイノリティ」、つまり理解されない孤独から
罪を犯した人たちです。

彼らは不幸にして、テツオに対しての天野のように
自分の真の姿を理解してくれる人がいませんででした。

二人は作中で様々な体験を通じて「マイノリティ」が持つ孤独を
理解して、それを乗り越えようとします。
そして、
『全ての人はなんらかのマイノリティを抱いている』ことに気がつく。

そんな天野とテツオが最終的にどんな生き方を選ぶのか?
そこに、マイノリティに対する一つの答えがあると思います。

以上「幽麗塔」の感想でした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。


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